南に開き北に抜ける家
ダイニング。南に開いた開口からの光が差し込み、階段吹抜けの開口部が隣地の緑と安定した光を立体的に取り込んでいる。
長男の保育園時代からの地元友人宅を設計させてもらった。土地探しの段階から相談を受けていたが最終的に風の抜ける日当たり良好のこの土地に決められた。敷地は南に1段低い駐車スペースと北側に抜ける道路に面した上段からなり、プランとしてはリビング・ダイニング・キッチンはデッキと一体で南に開きながら北側道路沿いに玄関ホール+階段室の吹抜けを設けた。これにより限られたスペースにLDKと階段と諸機能が凝縮された空間でありながら、南側の日当たりと日表となる北側への抜けが立体的に得られることとなった。2階は階段吹抜け脇のワークスペースに面してサンルームと子供達の寝室ブース、奥に主寝室と上部ロフトによって構成されている。仕様はローコストを前提に木造軸組現しにモルタル床と極力造作化粧をしない「素の家」を建ててもらい同じ保育園仲間と一緒に塗装仕上をして完成した。内部は建具や間仕切りを排して立体的なワンルームとしたが、屋根と外壁には遮熱シートを採用し、サッシュはLow-Eペアガラスを入れ外皮性能を高めた仕様としている。この物件からBIMによる3Dモデルでプラン検討を行ったが、作成した3Dモデルを送っておくとスマホのビュアーで見てもらえ即座に意見がもらえるスピード感でイメージを共有しながら進めることが出来た。色に関してはデザイナーでもある奥様のセンスで決めて頂いたが木造でありながらモノトーンの配色で締った佇まいとなった。大きく張り出したデッキはプラン検討時には想定していなかった愛犬が走り回り吹き抜ける風を感じながら1杯やる空間として活用されている。
家の中心となるダイニング。手前のキッチンと屋外のテラスと一体の南に開いた空間。
キッチンはダイニング側にシンクと広い調理台のオープンカウンターを設置し、背面にコンロとレンジ・冷蔵庫が並ぶレイアウトとした。キッチンの裏側が洗面洗濯・浴室・トイレの水廻りとなっている。
玄関吹抜。土間続きのクローゼットに直接つながり、上がってLDKエリア・2階への階段と様々な動線を裁く吹抜け空間になっている。
玄関吹抜けは北側に大きな開口を取ることで北側道路側の緑と北側の安定した採光を立体的に取り込んでいる。奥は土間続きのクローゼット。
スケルトンの鉄骨階段。家族共用のワークスペースに上がる。
チタングレー色のガルバリウムパネル外壁。